介護が必要となりえる65歳以上の高齢者は、2025年になると日本の3人に1人、約3500万人になります。今後、今の30代、40代の多くが「親の介護をどうすればいいのか」という問題に直面することでしょう。介護の必要性を感じたとき、どこに相談すればいいのでしょうか?介護保険サービスを適正に受けるためにも、地域の相談窓口を活用しましょう。
相談窓口
医療ソーシャルワーカー
病院に医療ソーシャルワーカーがいれば相談する。容態が安定したら、退院後のことを医療ソーシャルワーカー*1に相談しましょう。介護保険の申請のほか、地域の介護予防サービスの活用、転院や施設への入所などについてもアドバイスを求めることができます。
*1:医療ソーシャルワーカー(MSW)とは
地域の保健・医療・福祉機関と連携し、患者の在宅療養の準備をサポートします。転院や施設への入所、介護保険の申請の相談にも応じてくれます。MSWを配置しているのは、総合病院、または100床以上の病院の一部です。
地域包括支援センター※2
地域高齢者の総合相談窓口としての役割をもち高齢者の各種相談に幅広く総合的に対応しています。高齢者の困ったことに対して、必要なサービスや制度を紹介し、解決に導きます。そのほかにも介護予防や高齢者の権利擁護も担い、高齢者が住み慣れた地域で暮らし続けることができるよう、包括的かつ継続的なケアに対するマネジメントを行います。
*2: 地域包括支援センター とは
全国の市町村に配置され、介護・医療をはじめ、高齢者の生活全般についての相談窓口となります。保健師、社会福祉士、ケアマネージャーが相談業務に従事し、介護予防の拠点としても機能します。「あんしんすこやかセンター」などと名前を変えている場合もあります。
市町村の担当課(福祉課・介護保健課など)
お住まいの地域の市町村の担当課(介護保険課・高齢者福祉課など)では、介護保険制度や高齢者の保健福祉に関する総合的な相談が受けられます。離れた家族の場合介護が必要な家族が住んでいる市町村の担当課、地域包括支援センターに相談する。介護保険を利用する際、介護を受ける人が住んでいる市町村が相談窓口になります。事前に電話相談をし、資料請求をしてください。介護が必要となる前からの準備が大切です。
介護保険とは
介護保険制度は2000年にスタートし、2005年・2008年に改正を行っています。2005年の改正では、介護予防サービスや地域密着サービスの設立、2008年の改正では認知症ケアの推進などが盛り込まれています。いざというとき、サービスを十分に活用できるよう、日ごろから介護保険についてアンテナを働かせておきましょう。
介護保険とは
介護保険とは、これまで家族で背負っていた介護を社会全体で支える目的で施行された、公的な社会保険制度です。被保険者は40歳以上の医療保険加入者もしくは65歳以上の高齢者で、40歳以上から介護保険料の徴収が発生します。介護保険のサービスを利用するには、市区町村に介護認定の申請を行い要支援・要介護の介護認定を受ける必要があります。介護保険は、様々なルールや手続き、審査や更新など、初めて利用する方は複雑だと思われるかもしれません。しかし、本人や家族にとって非常に役立つ制度です。いざというとき、サービスを十分に活用できるよう、日ごろから介護保険について勉強しておきましょう高齢者で介護が必要な人の割合は、80代前半では30%近くに、80代後半では50%以上というように、加齢とともに増加します。遅くても親が70代に入ったら、10年後を見えて介護の心積もりをしておきましょう。